千種有宗の「こころなき身ゆゑ」

歴史・文化・詩歌・音楽について語ります。

七夕の歌(拙作)

 

はじめに

 

 みなさま、こんにちは。千種有宗です。

 

 今日は七夕ですね。

 

 七夕は、大陸の星合の伝説や乞巧奠(きこうでん、手芸の上達を願う行事)と、わが国古来の棚機津女(たなばたつめ)をお祀りする風習が融合した行事です。節日として宮中の年中行事になるとともに、民間でも厄払いや願掛けの行事として古くから親しまれてきました。また、単なる行事としてだけでなく、織姫と彦星の年に一度の逢瀬という恋物語として、七夕は古くから受容されています。『万葉集』や敕撰和歌集に多くの七夕歌が残っていますし、『枕草子』や『蜻蛉日記』、『和泉式部日記』にも七夕にかかわるお話が残っています。

 

 さて、今日は七夕を題とする拙作を幾つかご紹介します。

 

 

 

 

七夕の歌

 

 まず、『宗治集』より1首。*1

 

七夕の夜、川をながるる笹舟を見つく

 

あはれしる ひといますかも たなはたに かはもなかるる たまのささふね

あはれ知る 人いますかも 七夕に 川面流るる 玉の笹舟

 

情趣を理解している方がいらっしゃるのだなあ。七夕の夜に、さらさらと音を立てる小川を、美しい笹舟が流れてゆくのを見ると。

 

 

 次に、『おぱんつ歌集』より3首。*2

 

七夕

 

ひとよすら あへぬうきねの なからへは あかしたころも かはくまもなし

一夜すら あへぬうき寢の ながらへば 我が下衣 乾く間もなし

 

たった一晩でさえも耐えることのできない、涙に浮くほど悲しい独り寝が、一年もずっと続いているので、私のおぱんつは乾く間もないことですよ

 

 

七夕

 

ひさかたの あまのかはへに よるふねは たなはたおりし おぱんつとみゆ

ひさかたの 天の河辺に 寄る舟は たなばた織りし おぱんつと見ゆ

 

(ひさかたの)天の河の河辺に寄せられている舟(上弦の月)は、この日のために織姫が織ったおぱんつのようにみえることだ。

 

 

七夕

 

ひととせを おりてすくしし おりひめの おりしおぱんつ いかはかりかや

一年を 織りて過ぐしし 織姫の 織りしおぱんつ いかばかりかや

 

一年間を機を織って過ごしてきた織姫が彦星と逢うこの日のために織ったおぱんつは、いったいどんなものだろうかなあ。

 

 

 

おわりに

 

 以上、拙作をご紹介しました。

 

 ところで、笹舟を川に流す遊びは、みなさまご存知でしょうか。私は祖父母の住む離れで暮らしていましたから、この種の昔からの遊びを幾つも教わりました。いまの子どもたちからすればつまらない遊びでしょうが、こうした遊びが廃れてゆくのは哀しい気もします。しかし、今のこどもたちには彼らなりの遊びがあるのですから、致し方ないことなのでしょう。せめて私の記憶の中には、留めて置きたいと思います。

 

 それでは今日はこの辺で。ありがとうございました。

  

 


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*1:宗治『宗治集』、1:1

*2:宗治『おぱんつ歌集』、1:1-3